リストラ後、5つのオファーからベストな条件を引き出した方法
2025年10月末、会社が大規模なリストラを行い、私もその対象になった。
今年は旧正月が特に遅く、それまでに仕事が見つからなければ貯金を切り崩す生活が長く続くことになる。子供もいるので、できるだけ早く次の仕事を見つけたかった。
その後45日間で面接を重ね、5つのオファーを獲得した。この記事は、どう比較し、どう交渉し、最終的にどう選んだかの完全な記録だ。数字はすべて実数。社名は匿名処理している。
5つのオファー
オファーは3種類に分かれた:正社員、派遣常駐、正社員フルリモート。
| タイプ | 業界 | 年収 | 月給 | 通勤 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 正社員 | ゲーム業界 | 132.6万 TWD (~$40,800 USD) / 13ヶ月 | 10.2万 | 30分 | Mac、AI ツール自由、社会保険完備 |
| 派遣常駐 | 生命保険業界 | 120 | 10~10.5万 | 75分 | 賞与なし、保険自己負担、機材制限あり |
| 派遣常駐 | 金融業界 | 114万 TWD (~$35,100 USD) / 12ヶ月 | 9.5万 | 35分 | 賞与なし、保険自己負担、PC持ち込み必須 |
| 派遣常駐 | 公共機関 | 114万 TWD (~$35,100 USD) / 12ヶ月 | 9.5万 | 40分 | 賞与なし、保険自己負担、PC持ち込み必須、イントラネット制限 |
| 正社員フルリモート | ゲーム業界 | 78万 TWD (~$24,000 USD) / 13ヶ月 | 6万 | 0分 | Mac、AI ツール自由、社会保険完備 |
「派遣常駐」について補足:派遣会社と契約するが、毎日クライアント企業に出勤する。保険や福利厚生は自分で対応し、年末賞与は通常ない。台湾では非常に一般的で、欧米の contract staffing に近い概念だ。
月給差はたった3,000、実質差は40万以上
一見すると、正社員オファーと最高額の派遣オファーは月給がほぼ同じで、どちらも10万台前半。しかし計算してみるとまったく違う。
通勤。 その派遣は片道75分、1日往復2.5時間。年間625時間、勤務日換算で約26日。正社員の方は片道30分、年間250時間、約10日。通勤だけで375時間の差。派遣の時給(約597 TWD)で換算すると、年間22.4万 TWD (~$6,900 USD) の隠れコストになる。
隠れた損失。 賞与なしで直接1ヶ月分マイナス、-10.5万。保険自己負担で年間約-18万。機材制限は数値化できないが、2025-2026年という Claude Code や Codex が本格的に開発に使われ始めた時代に、会社支給の古い Windows マシンでコードを書かされる生産性の落差は想像に難くない。
派遣が正社員と同等になるにはいくら必要か
計算してみた。賞与、保険、通勤、機材をすべて織り込むと、あの派遣の月給は 13万 TWD (~$4,000 USD)、年換算 156万 TWD (~$48,000 USD) でようやく正社員オファーと同等になる。
13万——あの派遣に期待した金額だが、不可能な数字だということも分かっていた。
なぜその金額を提示できたか
正社員オファーをすでに持っていたから。フルリモートのオファーも。最悪の場合は正社員として出社するだけで、無職にはならない。
交渉用語でこれを BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)と言う。要するに「退路」だ。退路が強いほど、強気に出られる。以前は給与交渉で強く出るのが苦手だったが、今回は他のオファーがあったおかげで心持ちがまったく違った。
この交渉戦略は実は Claude との対話を重ねて練り上げたものだ。すべてのオファーの数字を入力し、通勤コスト、保険差額、賞与差を計算してもらった結果、13万という損益分岐点が出てきた。BATNA や「拒否的提示価格」といった概念もその過程で明確になった——もともと知っていたわけではなく、AI と繰り返しシミュレーションする中で戦略が形成された。
あの派遣に13万を提示したのは法外な要求ではない。計算の結果だ——この数字を下回れば、財務的に損をする。「拒否的提示価格」と呼んでもいい。
先方の営業は約1時間で返答してきた:「予算が合いません。」カウンターオファーも数字もなし、即終了。
正直、予想通りの結果だった。しかしそれ自体が有用な情報だ:台湾金融業界のフロントエンド派遣常駐、給与の天井はおよそ10.5万/月(年収126万 TWD、~$38,800 USD)。 この数字を超えると、議論の余地すらない。2025年末の実測データだ。
フルリモートの価値はいくらか
フルリモートの年収は78万。正社員は通勤30分で年収132.6万。差額は54.6万 TWD (~$16,800 USD)。
正社員の通勤コスト(年間約15万)を差し引いても、フルリモートの代償はやはり 約40万 TWD (~$12,300 USD) / 年。しかしこれで、自分の現在の交渉力における「自 由税」の価格が分かった。
結果
最終的に正社員のオファーを選び、12月中旬に入社した。
5つの選択肢の中で、実質時給が最も高く、福利厚生が最も充実し、通勤も許容範囲。数字を計算すれば、答えは明確だった。
持ち帰ったもの
提示しないことが一番高くつく。 派遣に13万を提示して断られた。それで?何も失っていないし、市場の天井がどこにあるか確認できた。以前は高すぎる金額を出すと「失礼になる」と思っていた。今ではそれは自分で自分を怖がらせていただけだと思う。
退路があってこそ、効率的に交渉できる。 他のオファーがある時とない時では、話す時の自信がまったく違う。相手にも伝わる。BATNA は教科書の用語ではなく、交渉結果を本当に変えるものだ。
すべてのコストを数字に変換すべき。 通勤、保険、賞与、機材——計算しなければ、「月給はほぼ同じ」という錯覚に殺される。
